社員が語る 越後みそ西への想い

麹が一番気持ち良く働ける
環境を作ってあげることが
私たちの仕事なんです

Interview

杜氏/製造部長 西巻 洋一

味噌に携わられて何年になりますか?
この業界に入ってからは、もう20年以上になります。
前職でも味噌づくりに関わっていたんですが、
たまたまこちらで探しているってことでお世話になって、
今に至ります。
ずっと、味噌づくりに携わっていたのですか?
もともとは調理をやっていたんです。親方が結婚式とか出張パーティーなどで頼まれて出す仕事で、洋食がメインでした。調理の仕事って、朝も夜中もないんですよ。私は仕入れから何から全部やっていたので。それで結局、30代で足を洗って、たまたま取引先の味噌会社へ入ったんです。もともと興味はありましたよ。ちょいちょいと入れる世界ではないということもわかっていたんで。
調理から味噌づくりへと仕事が変わったわけですが、
違いは感じましたか?
食に関わるという意味では 基本の筋はそんなに変わらないですね。最終的に人の口に入っていくものをつくることは同じで、それがベースの部分(味噌)か最後の部分(調理)の部分かっていう違いです。対お客さんであること、つくっていく考え方は同じ。

良かったのは、料理で使った経験があるんで何に使うものなのか、用途の違いがわかるんです。具体的にいろんな味噌を使っていたんで、みそ西の特徴もわかる。

もともと先代の杜氏がいたので、
彼のやることをみながら聞きながらのスタート。味噌にアルコールを混ぜる作業からやっていました。
お互いあとは、阿吽の呼吸ですよね。阿吽の中に、私が最後に入ってきたんですが、その中でやるということができた。

今は若い人が2人いて計3人でつくっていますが、越後みそ西に入った当時は2人だけでしたから。

いつも杜氏に聞いていたのは、「一般的には、こういうやり方だけど、なぜ違うの?」「この違いって何?」という聞き方をしてきた。私も味噌づくりに携わってきて聞くベースがあるんで、すぐわかるんです。
まず入社して印象深かったことは?
まずは木樽仕込みですよね。FRP(プラスチック)の樽ではなく、木の樽(木桶)。やはりこの味はこの樽だよなと見た瞬間に思いました。

それと、酵母菌ですね。これは、よそではいわば「既製品」が多いわけです。そっちの方が確かに安定はしている。でもうちは、自分たちの味噌から培養させている酵母菌を使っている。これは代々、つないできているもの。今までのトータル含めて、こう言う味になっている。

あと、一番驚いたのは、塩。こんな高い塩、普通の仕込みに使っているの?と。オーストラリアの天日塩。普通の塩よりべらぼうに高いんです。それを贅沢に使っている。こんな塩使っているの、今までに見たことなかった。それに腰を抜かしました。常識的な価格帯のものってのがあるんですけど、飛び抜けたものだった。
仕事の中で、特に気を遣うことはありますか?
今まで長い時間きちっと綺麗に崩さずにつないできたものを、私の代でパシャっと、変えてはいけないと、プレッシャーですね。

変えちゃいけないものを変えずに維持していくのって、意外に難しいことで。ブラさないってのが。そこはすごく意識しています。やはり、長い時間崩さずに継いで来たもの、これを私の時に変えちゃいけないというプレッシャーはいつもありますね。

それも相手が生き物なので、こっちの都合じゃないんです。いかに彼らにとってよい環境をつくってやるか。酵母を培養していてもそれをいつも考えています。
「生き物」相手の仕事だと西巻さんはよくおっしゃいますが、そういう感覚はどうやって身についたんですか?
感覚というか、失敗すると本当によくわかるんですよ。極端な話、酵母培養していて、全部ダメにしちゃって「これどうすんの?」ってことがありましたよ。

味噌の工程は、ほぼ人間が管理しているんですよ。今朝は冷えるから、あっためてあげようとか、寒くなるんだったら、もっとあっためてあげようとか。絶対に外しちゃいけない時間があるんですよ。生き物の呼吸を見ています。

一番緊張する(気を遣う)のが、麹を一番最初に米に入れる時。
スイッチ一つで思った温度にはならない。朝、この温度帯で発芽しているはずだけど、その温度までいっているのかどうかとか。徹夜はないですけど、気になって早く出勤して確認したりとかはあります。一生懸命菌が発芽して伸びようとしているので、頃合いを見計らって次の工程に入らないといけない。

麹の状態は、見てわかります。見て、触って、匂いをかいで、そして必ず口に入れます。次の工程に移る前は必ず口に入れます。その感覚をたよりに判断しています。

全部、この頭と体に感覚のデータが入っているもんですから。違和感があれば、そのブレの修正につとめます。データ化、数値化ができない仕事ですよね。そこは本当に経験ですね。